大学入学共通テスト(国語) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問37 (第4問(漢文) 問9)

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問題

大学入学共通テスト(国語)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問37(第4問(漢文) 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

唐の白居易は、皇帝自らが行う官吏登用試験に備えて1年間受験勉強に取り組んだ。その際、自分で予想問題を作り、それに対する模擬答案を準備した。次の文章は、その【予想問題】と【模擬答案】の一部である。これを読んで、後の問いに答えよ。なお、設問の都合で本文を改め、返り点・送り仮名を省いたところがある。


【予想問題】に対して、作者が【模擬答案】で述べた答えはどのような内容であったのか。その説明として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を採用する機会が少ないためであり、賢者を求めるには採用試験をより多く実施することによって人材を多く確保し、その中から賢者を探し出すべきである。
  • 君主が賢者と出会わないのは、君主と賢者の心が離れているためであり、賢者を求めるにはまず君主の考えを広く伝えて、賢者との心理的距離を縮めたうえで人材を採用するべきである。
  • 君主が賢者と出会わないのは、君主が人材を見分けられないためであり、賢者を求めるにはその賢者が党派に加わらず、自分の信念を貫いているかどうかを見分けるべきである。
  • 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を見つけ出すことができないためであり、賢者を求めるには賢者のグループを見極めたうえで、その中から人材を推挙してもらうべきである。
  • 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を受け入れないためであり、賢者を求めるには幾重にも重なっている王城の門を開放して、やって来る人々を広く受け入れるべきである。

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この過去問の解説 (3件)

01

選択肢の前半と後半、すなわち、

 

①君主が賢者と出会えない原因

②解決手段

 

この両方が本文に即している選択肢が正解となります。

言い換えれば、①か②のどちらかでも本文に即していない選択肢は正解候補から除外されます。

 

 

選択肢1. 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を採用する機会が少ないためであり、賢者を求めるには採用試験をより多く実施することによって人材を多く確保し、その中から賢者を探し出すべきである。

①君主が賢者と出会えない原因②解決手段ともに本文の内容と異なるため、誤りです。

 

選択肢2. 君主が賢者と出会わないのは、君主と賢者の心が離れているためであり、賢者を求めるにはまず君主の考えを広く伝えて、賢者との心理的距離を縮めたうえで人材を採用するべきである。

①君主が賢者と出会えない原因についてはやや判断に迷いますが、本文では「君主と民の間に隔たりがある」と述べられているにとどまっており、「君主と賢者の心が離れている」とまでは述べていません。

 

②解決手段については明らかに本文と異なっています。

 

上記を総合的に考えると、この選択肢は誤りと判断されます。

選択肢3. 君主が賢者と出会わないのは、君主が人材を見分けられないためであり、賢者を求めるにはその賢者が党派に加わらず、自分の信念を貫いているかどうかを見分けるべきである。

①君主が賢者と出会えない原因は保留の余地ありですが、②解決手段に関しては明らかに本文の内容と異なっているため、この選択肢は誤りです。

選択肢4. 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を見つけ出すことができないためであり、賢者を求めるには賢者のグループを見極めたうえで、その中から人材を推挙してもらうべきである。

①君主が賢者と出会えない原因、②解決手段ともに本文の内容を正しく捉えているこの選択肢が正解です。

 

「賢者のグループ」という意訳的な言い回しのため本文と離れているような印象を抱くかもしれませんが、「(グループの中から)人材を推挙してもらうべき」という最も重要な点をきちんと踏まえているのがポイントです。

選択肢5. 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を受け入れないためであり、賢者を求めるには幾重にも重なっている王城の門を開放して、やって来る人々を広く受け入れるべきである。

①君主が賢者と出会えない原因②解決手段ともに本文の内容と異なるため、誤りです。

まとめ

①君主が賢者と出会えない原因、②解決手段の2つに着目し、両方とも本文の情報を正しく拾ってまとめている選択肢を選びましょう。

 

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02

傍線部Cの前の文章「各審其族類、使之推薦而巳」の現代語訳を問うている問題です。

 

要約問題ほど広範囲な理解を求められていないため、しっかりと訳していきましょう。

 

正解の選択肢は「君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を見つけ出すことができないためであり、賢者を求めるには賢者のグループを見極めたうえで、その中から人材を推挙してもらうべきである。」です。

 

不適当な理由も含めて、各選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を採用する機会が少ないためであり、賢者を求めるには採用試験をより多く実施することによって人材を多く確保し、その中から賢者を探し出すべきである。

不適当です。

 

採用が少ないから試験を増やすべきとの記述は、本文中に一切ありません。

選択肢2. 君主が賢者と出会わないのは、君主と賢者の心が離れているためであり、賢者を求めるにはまず君主の考えを広く伝えて、賢者との心理的距離を縮めたうえで人材を採用するべきである。

不適当です。

 

「互いに求め合っていれば出会うのは必然」との前問までの流れを汲めば、心理的距離の話は最も適当に感じてしまいます。

しかしながら、ここでは君主と賢者は求め合っているのが前提です。

 

また、この問題は「心が離れているから出会わない」のではなく、「求め合っているのに出会わないのはなぜか」に対する答えとして、出会う方法として適当な選択肢を回答する問題です。

 

そのため、「心理的距離が離れているから近づけるべき」ではなく、「心理的距離が近い遠いは別として、出会える具体的な方法」を述べている選択肢を選ばなければなりません。

よってこの選択肢は不適当となります。

選択肢3. 君主が賢者と出会わないのは、君主が人材を見分けられないためであり、賢者を求めるにはその賢者が党派に加わらず、自分の信念を貫いているかどうかを見分けるべきである。

不適当です。

 

賢者たる条件に党派や信念は関係ありません。

 

また、王政時代の「党派」とは主に王の味方か民の味方かを指します。

他に特定の貴族の派閥を指すこともあります。

 

しかしながら当問は、やはりどこの派閥から人材を選ぶべきかを語ったものではありません。

選択肢4. 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を見つけ出すことができないためであり、賢者を求めるには賢者のグループを見極めたうえで、その中から人材を推挙してもらうべきである。

適当です。

 

本文の本問解答該当部分は、書き下し文で

「各その族類を審らかにし、之をして推薦しむるのみ」

 

現代語訳で

「それぞれそのグループをより細かく精査したうえで、優秀なグループのなかからより優秀な人物を推薦してもらうしかない」

となり、

選択肢の文章と本文の内容が一致します。

選択肢5. 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を受け入れないためであり、賢者を求めるには幾重にも重なっている王城の門を開放して、やって来る人々を広く受け入れるべきである。

不適当です。

 

傍線部Bの「九重」から「王城の門が幾重にも閉ざされているせいで人が集まらない」と解釈したのでしょうが、傍線部Bは君主と賢者が出会う方法について具体的に書かれた部分ではないため、ここから文字を拾って解釈するのは不適当です。

 

また傍線部Bでは「君主が賢者を、賢者が君主を求める際には(傍線部B)」とあり、選択肢の文章のような「君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を受け入れないため」というのは、内容的にも不適当となります。

まとめ

漢文を現代文のように自然に読解できるかが問われている問題です。

 

該当部分を抜き出し答えるのは現代文と同じなのに、漢文というだけでハードルが高く感じてしまう方もいるでしょう。

そういう方はまず、漢文に慣れましょう。

対策はただひとつ、問題の数をこなすことです。

 

本問に難なく答えられた方は漢文の基礎的な語法や漢字の意味はわかっている方なので、試験本番まで特に反語や疑問などの語法を忘れないよう時々復習するようにしましょう。

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03

この問題を解答するポイントは以下の2点です。
①この問いは何を読み取ればいいのか。
予想問題の意味、そして、模範解答の意味を検討すること。

選択肢1. 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を採用する機会が少ないためであり、賢者を求めるには採用試験をより多く実施することによって人材を多く確保し、その中から賢者を探し出すべきである。

採用する機会については本文中で触れていませんので、不適当です。

選択肢2. 君主が賢者と出会わないのは、君主と賢者の心が離れているためであり、賢者を求めるにはまず君主の考えを広く伝えて、賢者との心理的距離を縮めたうえで人材を採用するべきである。

君主と賢者の心の距離については本文中で触れていませんので、不適当です。

選択肢3. 君主が賢者と出会わないのは、君主が人材を見分けられないためであり、賢者を求めるにはその賢者が党派に加わらず、自分の信念を貫いているかどうかを見分けるべきである。

賢者の信念については本文中で触れていませんので、不適当です。
また、賢者は賢者同士で一緒にいると述べられているので、党派はむしろ重要です。

選択肢4. 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を見つけ出すことができないためであり、賢者を求めるには賢者のグループを見極めたうえで、その中から人材を推挙してもらうべきである。

文意と一致するため、正解です。

選択肢5. 君主が賢者と出会わないのは、君主が賢者を受け入れないためであり、賢者を求めるには幾重にも重なっている王城の門を開放して、やって来る人々を広く受け入れるべきである。

君主は賢者を求めており、君主が賢者を受け入れないという論旨は本文の趣旨と異なるため、不適当です。

まとめ

最初に提示したとおり、解答するポイントは以下の2点です。
①この問いは何を読み取ればいいのか。
予想問題の意味、そして、模範解答の意味をそれぞれ確認し、選択肢と検討します。


予想問題の意味、そして、模範解答の意味を検討すること。
→予想問題は「賢者を徴用したいが、a:なぜ出会えないのか、b:どうしたら探し出せるか」といったことを聞いています。
 予想問題で問われているa、bの内容に過不足なく回答をすることが必要です。
 まずaに関しては、傍線部Bのところで「貴賤(身分)、朝廷と野(民間)の間に壁があり、君主のいる場所は千里より、王城の門は九重より深くて遠い」とあるため、君主と在野の賢者の間に距離がありすぎて出会えないと書かれています。
 次にbに関しては、傍線部Dのところで「類は友を呼ぶので賢人は賢人同士でいる」と述べているので、賢人の集団を探すべきと読み取ることができます。

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