大学入学共通テスト(国語) 過去問
令和7年度(2025年度)本試験
問38 (第5問(漢文) 問9)
問題文
(注1)賜 ――― 孔子の門人である子貢。賜は名。
(注2)一似 ――― 一つのことで。
(注3)夫子 ――― 先生。ここでは孔子のこと。
(注4)諸経 ――― 『詩経』『書経』といった儒教の古典。
(注5)疑言 ――― 推し量って言う。
(注6)龐雑冗乱 ――― 雑然としてまとまりがない。
(注7)先師 ――― すでに亡くなった先生。
(注8)便捷 ――― 早道である。
(注9)粗渉 ――― 大ざっぱに目を通す。
(注10)欽羨 ――― 敬いあこがれる。
【文章Ⅰ】から読み取れる皆川淇園の学問に対する考え方と、【文章Ⅱ】から読み取れる田中履堂の読書に対する考え方を説明したものとして最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(国語)試験 令和7年度(2025年度)本試験 問38(第5問(漢文) 問9) (訂正依頼・報告はこちら)
(注1)賜 ――― 孔子の門人である子貢。賜は名。
(注2)一似 ――― 一つのことで。
(注3)夫子 ――― 先生。ここでは孔子のこと。
(注4)諸経 ――― 『詩経』『書経』といった儒教の古典。
(注5)疑言 ――― 推し量って言う。
(注6)龐雑冗乱 ――― 雑然としてまとまりがない。
(注7)先師 ――― すでに亡くなった先生。
(注8)便捷 ――― 早道である。
(注9)粗渉 ――― 大ざっぱに目を通す。
(注10)欽羨 ――― 敬いあこがれる。
【文章Ⅰ】から読み取れる皆川淇園の学問に対する考え方と、【文章Ⅱ】から読み取れる田中履堂の読書に対する考え方を説明したものとして最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
- 皆川淇園は、学問では、要点をまず把握し、それに基づいて個別の事例を分析すべきだと説いている。田中履堂は、読書によって多くの具体的な事柄を知って、それら全てを貫通する法則を発見することが大切だと説いている。演繹的に学ぶのか帰納的に学ぶのかという点で、両者の考えは対立している。
- 皆川淇園は、学問では、鍵となる部分を素早く見極めて、それを広く適用して要領よく学ぶべきだと説いている。田中履堂は、一冊の書物を精読することを通じて、学問の土台をじっくりと築くことが大切だと説いている。学びにおいて効率を重視するのか否かという点で、両者の考えは対立している。
- 皆川淇園は、学問では、精密な分析を通じて、現実の問題に応用できる原理を抽出すべきだと説いている。田中履堂は、現実の問題の解決につながる知識を集積するためには、様々な分野に関係する書物の熟読が大切だと説いている。学びにおける実用性を重んずる点で、両者の考えは通底している。
- 皆川淇園は、学問では、雑多な知識に惑わされないように、基軸となる要点を把握すべきだと説いている。田中履堂は、多くの書物を乱読するよりも、一冊の書物を隅々まで深く理解することが大切だと説いている。学びにおいて多くの知識を得ることに重きを置かない点で、両者の考えは通底している。
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この過去問の解説 (3件)
01
【文章Ⅰ】と【文章Ⅱ】はどちらも最後に筆者の考えが書かれています。
「唯だ一要道を得て之を主とするのみと」と、
「一書に精通するも、亦た博学と称すべし」の部分です。
以上のことをふまえて各選択肢を検討していきます。
書き下し文を読むと、
どちらも近しい内容であることが分かります。
よって両者の考えは対立していないため不適です。
書き下し文を読むと、
どちらも近しい内容であることが分かります。
よって両者の考えは対立していないため不適です。
「様々な分野に関係する書物の熟読が大切」という部分が不適です。
【文章Ⅱ】には「一書に精通するも、亦た博学と称すべし」とあるため、
逆の考えであると読み取ることができます。
適当な選択肢です。
「唯だ一要道を得て之を主とするのみと」と、
「一書に精通するも、亦た博学と称すべし」という考えと矛盾しない記述になっています。
文章の意味を正確に理解できなくても、
どちらにも「一」が重要であることが書かれていることが分かれば解ける問題でした。
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02
まず【文章Ⅰ】の方から見ていきましょう。
【文章Ⅰ】の「不可貪多務博、龐雑冗乱、反闇其智。唯得一要道主之」の部分が最もその意を汲みやすいところかと思います。さっさと簡単に現代語訳をしてしまえば、「広く貪るように知識を学ぼうとして、雑然としてしまうことで、かえってその真髄をわからなく暗いものにしてしまってはいけない。」くらいの意味かと思いますが、訳ができない人は、「不可」で〜してはいけない、「貪」でむさぼる、「龐雑」で雑然としてまとまりがないなどの部分だけでも取れれば、最低限の意味は取れるのではないでしょうか。
【文章Ⅱ】は問題の部分も含んでしまいますが、「不知是此多識、不可謂博。博者莫所不通達之謂、精通一書、亦可称博学。」の意味が取れれば大丈夫です。難しいという方は最低限、最後の「精通一書、亦可称博学」だけでも文意がわかれば正解は選べるかと思います。これは「一つの書に精通することでも、また、博学ということができる」くらいの意味ですので、多くを読むよりも、一つの書・知識に詳しくなることを提案している部分です。
よってこの二つは内容が「たくさんの知識を求めるよりも、数は少なくてもそれに精通している方が好ましい」という内容で似通っています。この内容、および両方が似ている点から正解は「皆川淇園は、学問では、雑多な知識に惑わされないように、基軸となる要点を把握すべきだと説いている。田中履堂は、多くの書物を乱読するよりも、一冊の書物を隅々まで深く理解することが大切だと説いている。学びにおいて多くの知識を得ることに重きを置かない点で、両者の考えは通底している。」です
これは「両者の考えは対立している」としている時点で誤りです。現代語訳が取れなくても「対立している」とまでは言えないということは分かるのではないでしょうか。
この選択肢は「両者の考えは対立している」としている点で誤りです。
なお、所詮受験のこざかしいテクニックですので鵜呑みにはしないでほしいですが、この選択肢は「両者の考えは対立している」という点が明らかに間違っていますが、田中履道の説明の部分などはとても参考になります。
共通テストレベルの選択肢になると一箇所程度だけ明確に誤りという部分はあっても、他は正解と遜色ない内容にして誤りの選択肢をそれと気付かせないようにするのですが、それゆえに、訳が全く取れない時は選択肢が大いにヒントになるということでもあります。選択肢を頼りにして自分で答えを考えることをせずにすぐに選択肢を見てしまう解き方はお勧めしませんが、逆に選択肢を見渡しておおよその内容を掴むということもせずに、自分の力だけで考えて解くと意固地になるのも勿体無いものではあります。要は使い方次第ということです。
この選択肢は「両者の考えは通底している」という部分は正しいので、そこで判別はできません。しかし、皆川淇園の「現実の問題に応用できる」という部分は、本文のどこにも見られません。よって、この点でこの選択肢は不適です。
漢文を全て訳すのは難しいと感じる人は、一部分だけでも漢字の意味を把握して、本文に側した場合はどんな意味かを考えてみましょう。表意文字(より正確には「表語文字」と言いますが)である漢字の特性を最大限利用するのが読むコツです。
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03
【文章Ⅰ】は皆川淇園が『論語』のエピソードを紐解きながら学問に対する考え方を論じています。
主旨:多くの知識を貪るとかえって知識に惑わされてしまう。学問の習得においては一つの要点を軸とすることが重要である。
【文章Ⅱ】は皆川淇園の弟子である田中履堂が、生前の淇園の読書に対する心構えを紹介しながら、さらに自分の考えを付け加えています。
主旨:日に数ページを流し読みするよりは、日に数文字ずつ覚えていく方がよい。沢山の書物に大雑把に目を通すよりは、一冊の本に精通する方がよい。一冊の本に精通するのもまた、博学として称賛すべき姿勢である。
【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】を比較してみると、「沢山の知識を雑多に貪ることに対する指摘」「一つの要点や一冊の本を重視する」という点において両者は共通していると言えます。これらは【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】を説明する上で必須の要素であり、このポイントをふまえている選択肢が正解になると考えられます。
演繹的/帰納的というアプローチについては本文で語られていない上、「両者の考えは対立している」と解釈しているため誤りです。
「鍵となる部分を素早く見極めて、それを広く適用して要領よく学ぶべき」「学問の土台をじっくりと築くことが大切だ」ということは本文に書かれていません。
また、両者とも「一つの要点や一冊の本を重視する」という点で根底にある考えは共通しているため、「両者の考えは対立している」と解釈している点も誤りです。
「精密な分析を通じて、現実の問題に応用できる原理を抽出すべき」
「現実の問題の解決につながる知識を集積するためには、様々な分野に関係する書物の熟読が大切だ」
「学びにおける実用性を重んずる」
これらはいずれも本文に書かれていません。
「雑多な知識に惑わされないように、基軸となる要点を把握すべき」
「多くの書物を乱読するよりも、一冊の書物を隅々まで深く理解することが大切だ」
「学びにおいて多くの知識を得ることに重きを置かない」
いずれも【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】の主旨を正しく説明しているこの選択肢が正解です。
正解以外の選択肢は明らかに本文と合致しない説明になっているため、確実に正解したい問題です。
この問題で誤答してしまった人は致命的な読み間違いをしているということですので、もう一度本文をよく読み直してみましょう。
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