共通テスト(国語) 過去問
令和8年度(2026年度)本試験
問20 (第3問(実用的な文章) 問3)

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問題

共通テスト(国語)試験 令和8年度(2026年度)本試験 問20(第3問(実用的な文章) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

自分の好きな本を一冊選び、その本にどのような工夫が見られるかについて考えるという課題を与えられたMさんは、『イワシむれでいきるさかな』という絵本に見られる工夫に注目し、自分の考えをまとめ、下書きを始めた。次の【文章】はMさんの下書きの一部であり、後の【資料Ⅰ】と【資料Ⅱ】は、【文章】を書くための資料としてMさんが準備したものである。これらを読んで、後の問いに答えよ。

【文章】(段落に[1]〜[4]の番号を付してある。)
[1]私は生き物が好きだ。生き物を好きになったきっかけは、幼い頃に『イワシむれでいきるさかな』という絵本を読んだことだった。今回はこの絵本を取り上げ、小さな子どもに生き物の世界の魅力を伝えるためにどのような工夫がなされているかについて考えたい。【資料Ⅰ】は子どもを対象とした科学的な内容の絵本の編集者へのインタビュー記事、【資料Ⅱ】は『イワシむれでいきるさかな』の内容を私自身が抜粋したりまとめたりしたものである。
[2]【資料Ⅰ】からは、絵本では伝えたいメッセージを絞ることが重要であること、そして、ここで話題になっている絵本のメッセージは「イワシは群れて生きる」であることがわかる。その編集方針どおり、絵本では、読者に感じてほしいことを強く打ち出しながら数多くのイワシが集まり群れをなして生きる様子を描いていることが、【資料Ⅱ】からも読み取れる。
[3]絵本に込められた短いメッセージは、ストーリーという形で肉づけされている。【資料Ⅱ】で抜粋した絵本の前半部分について、ストーリーの構成を順に整理すると、a イワシが群れをなして泳ぐ姿を紹介することb イワシが何を食べて生きているかを示すことc 「バシャーン!」という音で迫力を出すことd コアジサシを例にイワシが食べられる姿を描くことから成り立っている。このようなストーリーによって子どもたちを絵本の世界に引き込みつつ、イワシの種としての生き方を伝えている。
[4]( X )

【資料Ⅰ】 科学的な内容の絵本の編集者へのインタビュー記事の抜粋
欲張っても、そんなに多くの中身を盛り込めません。ましてや読者が、5、6歳の子どもですから、二兎(にと)を追う者は一兎をも得ずということにならないよう、絵本に込めるメッセージを絞ります。
たとえばこの『イワシ むれで いきる さかな』なら「イワシは群れて生きる」というたった一行。「群れ」という生物界での生存戦略を紹介する絵本です。それがどういうことなのかを、ストーリーを通して感じさせる。それ以外の、イワシが何科なのか、イワシにはどんな仲間がいるかなど、物語に不要な情報はすべて削りました。この本で感じてほしい驚きや発見を際立たせる上で必要な知識なのか、ストーリーにとって障害物になる情報なのかを精査し、どんどん研ぎ澄ませます。情報を知ってほしいのではなく、驚きや発見を通じて、作者や編集部が読者に感じてほしい一つのメッセージが伝われば充分です。
(山形昌也(やまがたまさや)氏へのインタビュー記事「科学絵本のアプローチ」をもとに作成)

【資料Ⅱ】 Mさんによる絵本『イワシ むれで いきる さかな』の抜粋とまとめ
〈前半部分の抜粋〉※元の絵本でページをめくる箇所を1行空けて示した。
うみのなかを、おおきな かたまりが うごいています。ゆらゆらと かたちを かえながら、ときおり きらりと ひかっています。
イワシの むれです。かぞえきれないほど たくさんの イワシが あつまって、むれを つくっていたのです。
イワシは うみに すむ さかなです。えさを もとめて うみのなかを いつも むれで およいでいます。
イワシが くちを おおきく あけて およぐと、えさの プランクトンが どんどん くちのなかに はいってきます。プランクトンは みずのなかを ただよって くらす いきものです。
イワシの むれは プランクトンを たべながら うみの ひょうめんちかくまで やってきました。すると......
バシャーン! とつぜん なにかが うみのなかに とびこんできました。イワシを たべる コアジサシです。コアジサシは そらを とびながら、ねらいを さだめて うみに とびこみ、イワシを つかまえます。イワシの むれは うみの ふかいほうへと にげだしました。
〈中間部分のあらすじのまとめ〉
他の生き物に食べられたり人間に捕まったりして、イワシの群れは小さくなるが、小さい群れが集まってまた大きな群れになる。春にかけて数えきれないほどの卵が産まれ、そこから育ったイワシの子どもが、また新しい群れを作る。
〈最終ページの抜粋〉
これから この イワシの むれも、ほかの いきものに なんども ねらわれる ことでしょう。でも、かぞえきれないほど たくさんいる イワシが、すっかり たべられてしまうことはありません。いきのびた イワシは、また たくさんの たまごを うみます。むれで いきる イワシは こうして これからも いきつづけるのです。
(大片忠明(おおかたただあき)『イワシ むれで いきる さかな』をもとに作成)
※絵本での改行は省略し、1ページごとに形式段落としてまとめた。

Mさんは、『イワシむれでいきるさかな』の特徴を明らかにするために、他の本と比較した内容を【文章】の[4]段落にある空欄( X )に書くことにしている。そのため、【資料Ⅱ】で描かれたイワシの種類がマイワシであることを確認し、比較対象として次の【資料Ⅲ】を準備した。これを読んで、後の問いに答えよ

【資料Ⅲ】イワシに関する他の本の抜粋
マイワシの産卵期は12〜6月。主な産卵場は鹿児島宮崎沖から伊豆諸島周辺の黒潮の海です。直径1mmの卵は生み出されてから2〜3日でふ化し、黒潮にのって広がります。最初に食べるエサは動物プランクトンですが、このエサの量が少ないと成長できず、弱ったイワシはすぐに食べられてしまいます。イワシ類の(注2)仔魚(しぎょ)がどれくらいの割合で死ぬかを調べた研究では、日の死亡率は20%と推定されました。10000尾は次の日には8000尾に減り、10日後には1074尾、30日後はわずか12尾という厳しさです。
30〜50日間は自力で泳ぐことができず、黒潮の流れまかせですが、初夏になると、力をつけた稚魚の群れは黒潮から離れ、動物プランクトンが豊富な冷たい親潮域に向かって回遊をはじめます。「親潮」とは子を育てる親のように栄養となるエサが豊富という意味です。(中略)
秋になるとマイワシは南へ向かいます。まだ産卵しない未成魚は常磐(じょうばん)沖から房総半島沖の暖かい海で冬を越します。成魚はもっと南の産卵場まで回遊します。
こうして冬〜春に産卵、夏に北上し、秋に南下を繰り返すのです。南下するのを「下りイワシ」といいます。
(東京水産振興会『世界はイワシでできている?』をもとに作成)
(注1)索餌 ―― 餌を探し求めること。
(注2)仔魚 ―― ふ化直後からひれや骨格ができあがる段階までの魚。

Mさんは、空欄Xに書く内容の準備として【資料Ⅱ】と【資料Ⅲ】を比較し、それぞれの特徴を次の表にまとめた。A欄とB欄に書くこととして誤りを含むものを、選択肢のうちから二つ選べ。

【資料Ⅱ】の特徴:A
【資料Ⅲ】の特徴:B
  • A 【資料Ⅱ】図1によって、イワシが直面する命の危険性を、切迫感をともなう形で伝えている。
    B 【資料Ⅲ】図2によって、イワシの索餌に関する標準的な場所や餌の捕食方法を、視覚的に示している。
  • A 【資料Ⅱ】図1によって、イワシに関するストーリーの一場面の情景をわかりやすく伝えている。
    B 【資料Ⅲ】図2によって、イワシが生まれてから成長し産卵するまでの動きをおおまかに示している。
  • A 「ています」や「てきます」などを用いて、精選した情報をリアリティーをもって伝えようとしている。
    B 「12〜6月」や「秋」という具体的な時期を示しながら、時系列に沿って事実を伝えようとしている。
  • A 擬音語や擬態語を用いることで、登場する生き物たちの様子をより想像しやすくしている。
    B 具体的な数値を挙げることで、イワシの仔魚が減っていく様子をより理解しやすくしている。
  • A ある群れに起こった出来事を取り上げて述べるという方法で、イワシの生態を伝えている。
    B 解説の対象を特定の群れに限定しない形で述べる方法で、イワシの生態を伝えている。
  • A 情報を限定して短い文で書き表していくことで、生き物の世界の厳しさを強調し過ぎないようにしている。
    B 研究の成果や専門的な知識を詳しく紹介することで、イワシの生存戦略を理解できるようにしている。

正解!素晴らしいです

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