大学入学共通テスト(国語) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問34 (第4問(漢文) 問6)

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問題

大学入学共通テスト(国語)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問34(第4問(漢文) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

唐の白居易は、皇帝自らが行う官吏登用試験に備えて1年間受験勉強に取り組んだ。その際、自分で予想問題を作り、それに対する模擬答案を準備した。次の文章は、その【予想問題】と【模擬答案】の一部である。これを読んで、後の問いに答えよ。なお、設問の都合で本文を改め、返り点・送り仮名を省いたところがある。


傍線部Cの比喩は、「線」・「矢」のどのような点に着目して用いられているのか。最も適当なものを選択肢のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 「線」や「矢」は、単独では力を発揮しようとしても発揮できないという点。
  • 「線」と「矢」は、互いに結びつけば力を発揮できるという点。
  • 「線」や「矢」は、針や弦と絡み合って力を発揮できないという点。
  • 「線」と「矢」は、助け合ったとしても力を発揮できないという点。
  • 「線」や「矢」は、針や弦の助けを借りなくても力を発揮できるという点。

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この過去問の解説 (3件)

01

傍線部C「其猶線与矢也(其れ猶ほ線と矢のごときなり)」の比喩の内容は、その後の文章に明確に記されています。

 

線因針而入、矢待弦而発。雖有線矢、苟無針弦、求自致焉、不可得也。

(線は針に因りて入り、矢は弦を待ちて発す。線矢有りと雖も、苟くも針弦無くんば、自ら致すを求むる得るべからざるなり)

 

訳:糸は針に通して使うもので、矢は弦に当てがって発射するものです。糸も矢も、針や弦が無ければ、それ単独で役目を果たすことは不可能でしょう。

 

複雑な文法は使われていませんので、文中の返り点や送り仮名を頼りにすれば意味は理解できるかと思います。

選択肢1. 「線」や「矢」は、単独では力を発揮しようとしても発揮できないという点。

本文に書かれていることを適切に訳しているこの選択肢が正解です。

まとめ

根拠となる文章が明確に存在しているため、そこを正しく訳すことさえできれば得点できる問題です。

使われている文法はそれほど複雑ではないので、是非とも正解したいところです。

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02

正解の選択肢は「「線」や「矢」は、単独では力を発揮しようとしても発揮できないという点。」です。

 

選択肢の文章の意味だけでも、「線」や「矢」の特徴を考えれば、2択にまで絞れます。

その後「力を発揮できる」とポジティブなことを言いたいのか、「発揮できない」とネガティブな表現に留めたいのかは、傍線部よりあとの文脈からわかります。

 

それでは各選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. 「線」や「矢」は、単独では力を発揮しようとしても発揮できないという点。

適当です。

 

続く文章で「線」と「矢」はそれぞれ「針」や「弦」を必要とし、単独では役に立たないとネガティブな書き方で記されています。

選択肢2. 「線」と「矢」は、互いに結びつけば力を発揮できるという点。

不適当です。

 

「線」と「矢」は単独では役に立ちませんが、かといって「線」と「矢」がセットになれば役に立つものでもありません。

あくまで「線」は「針」、「矢」は「弦」とセットです。

 

「線」と「矢」は、互いに結びつけば」との選択肢の記述が誤りとなります。

選択肢3. 「線」や「矢」は、針や弦と絡み合って力を発揮できないという点。

不適当です。

 

「線」は「針」、「矢」は「弦」と結びつけば力を発揮できるものではありますが、「針や弦と絡み合う」や「絡み合うと力を発揮できない」との内容はどこにも書かれていません。

選択肢4. 「線」と「矢」は、助け合ったとしても力を発揮できないという点。

不適当です。

 

「線」と「矢」が互いに助け合うとの内容は本文中にありません。

 

また、「針」や「弦」など、適切なものと結びつかなければ力を発揮できないものでもあります。

これは「君主と賢者は適切に結びつかなければ力を発揮できない」との、本当に言いたい内容の暗喩となっています。

選択肢5. 「線」や「矢」は、針や弦の助けを借りなくても力を発揮できるという点。

不適当です。

 

単独では力を発揮できないと記されており、本文と矛盾します。

まとめ

傍線部の解釈問題のようでいて、実は現代文の読解問題と同じです。

 

前後の文脈から、傍線部をうまく言い換えられている選択肢を選びましょう。

 

漢文も国語の一種です。

文法にさえ気をつければ、あとは現代文と同じように読解できます。

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03

この問題を解答するポイントは以下の2点です。
①この問いは何を読み取ればいいのか
②問われている文章の訓読、現代語訳を把握すること。

選択肢1. 「線」や「矢」は、単独では力を発揮しようとしても発揮できないという点。

現代語訳と一致しているため、正解です。

選択肢2. 「線」と「矢」は、互いに結びつけば力を発揮できるという点。

結びつく相手はそれぞれ別のものですので、不適当です。

選択肢3. 「線」や「矢」は、針や弦と絡み合って力を発揮できないという点。

針や弦と絡み合うことで力を発揮するので、不適当です。

選択肢4. 「線」と「矢」は、助け合ったとしても力を発揮できないという点。

助け合ったら力を発揮できるので、不適当です。

選択肢5. 「線」や「矢」は、針や弦の助けを借りなくても力を発揮できるという点。

針や弦の助けを借りないと力を発揮できないので、不適当です。

まとめ

最初に提示したとおり、解答するポイントは以下の2点です。
①この問いは何を読み取ればいいのか
→傍線部Cを訓読し、現代語訳が選択肢と一致するかを確認します。


②問われている文章の訓読、現代語訳を把握すること。
→先頭が「猶」の再読文字から始まっており、【猶ホ~ノごとし】は「ちょうど~のようだ」と読みます。
 書き下し文に直すと、「其れ猶ほ線と矢のごときなり」となり、「ちょうど線(いと)と矢のようだ」と訳されます。
 続きの文章に「線は針によって入り、矢は弦を待って発射される。線矢があっても針弦がなければ使えない」と書かれているため、単独では使えないという意味になります。

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