大学入学共通テスト(国語) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問36 (第4問(漢文) 問6)
問題文
(注1)華清宮 ―― 都長安の郊外にある、驪山(りざん)の温泉地に造営された離宮。
(注2)繡成堆 ―― 綾絹(あやぎぬ)を重ねたような驪山の山容の美しさをいう。
(注3)次第 ―― 次々と。
(注4)紅塵 ―― 砂煙。
(注5)妃子 ―― 楊貴妃(ようきひ)のこと。唐の皇帝玄宗(げんそう)(685―762)の妃(きさき)。
(注6)茘枝 ―― 果物のライチ。中国南方の特産物。
(注7)『天宝遺事』 ―― 唐の天宝年間(742―756)の逸話を集めた書。王仁裕(おうじんゆう)著。
(注8)涪州 ―― 中国南方の地名。
(注9)馬逓 ―― 早馬の中継による緊急輸送。公文書を運ぶのが本来の目的。
(注10)『畳山詩話』 ―― 詩の解説・批評や詩人の逸話を載せた書。謝枋得(しゃぼうとく)著。
(注11)明皇 ―― 玄宗を指す。
(注12)『遯斎閑覧』 ―― 学問的なテーマで書かれた随筆集。陳正敏(ちんせいびん)著。
(注13)唐紀 ―― 唐の時代についての歴史記録。
(注14)『甘沢謡』 ―― 唐の逸話を集めた書。袁郊(えんこう)著。
(注15)誕辰 ―― 誕生日。
(注16)駕 ―― 皇帝の乗り物。
(注17)小部音声 ―― 唐の宮廷の少年歌舞音楽隊。
(注18)長生殿 ―― 華清宮の建物の一つ。
(注19)南海 ―― 南海郡のこと。中国南方の地名。
【詩】の第三句「一騎紅塵妃子笑」について、【資料】Ⅰ・Ⅱをふまえた解釈として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(国語)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問36(第4問(漢文) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
(注1)華清宮 ―― 都長安の郊外にある、驪山(りざん)の温泉地に造営された離宮。
(注2)繡成堆 ―― 綾絹(あやぎぬ)を重ねたような驪山の山容の美しさをいう。
(注3)次第 ―― 次々と。
(注4)紅塵 ―― 砂煙。
(注5)妃子 ―― 楊貴妃(ようきひ)のこと。唐の皇帝玄宗(げんそう)(685―762)の妃(きさき)。
(注6)茘枝 ―― 果物のライチ。中国南方の特産物。
(注7)『天宝遺事』 ―― 唐の天宝年間(742―756)の逸話を集めた書。王仁裕(おうじんゆう)著。
(注8)涪州 ―― 中国南方の地名。
(注9)馬逓 ―― 早馬の中継による緊急輸送。公文書を運ぶのが本来の目的。
(注10)『畳山詩話』 ―― 詩の解説・批評や詩人の逸話を載せた書。謝枋得(しゃぼうとく)著。
(注11)明皇 ―― 玄宗を指す。
(注12)『遯斎閑覧』 ―― 学問的なテーマで書かれた随筆集。陳正敏(ちんせいびん)著。
(注13)唐紀 ―― 唐の時代についての歴史記録。
(注14)『甘沢謡』 ―― 唐の逸話を集めた書。袁郊(えんこう)著。
(注15)誕辰 ―― 誕生日。
(注16)駕 ―― 皇帝の乗り物。
(注17)小部音声 ―― 唐の宮廷の少年歌舞音楽隊。
(注18)長生殿 ―― 華清宮の建物の一つ。
(注19)南海 ―― 南海郡のこと。中国南方の地名。
【詩】の第三句「一騎紅塵妃子笑」について、【資料】Ⅰ・Ⅱをふまえた解釈として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
- 玄宗のため楊貴妃が手配した茘枝を早馬が砂煙を上げながら運んで来る。それを見て楊貴妃は笑う。
- 楊貴妃のため茘枝を手に入れようと早馬が砂煙のなか産地へと走りゆく。それを見て楊貴妃は笑う。
- 楊貴妃の好物の茘枝を運ぶ早馬が宮殿の門の直前で倒れて砂煙を上げる。それを見て楊貴妃は笑う。
- 玄宗の命令で楊貴妃の好物の茘枝を運ぶ早馬が砂煙を上げ疾走して来る。それを見て楊貴妃は笑う。
- 玄宗に取り入りたい役人が茘枝を携えて砂煙のなか早馬を走らせて来る。それを見て楊貴妃は笑う。
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この過去問の解説 (3件)
01
楊貴妃は何を見て笑ったのか、「一騎紅塵」の部分を解釈する必要があります。この句だけでは具体的な解釈ができないので、詩や資料の内容の読解が必要になる問題でもあります。
不適当です。
茘枝を手配した説明が本文の内容に沿いません。玄宗が楊貴妃のために茘枝を手配したのです。
不適当です。
早馬は産地へ走っていったのではありません。
たしかに、資料では、早馬で犠牲も厭わず運ばせたことが読み取れます。
しかし、詩の第四句を読むと、「是れ(=第三句で述べられた「紅塵」=早馬が走る砂塵)は茘枝が来たことだと誰も知らない」のように解釈でき、第三句・第四句では、早馬が楊貴妃のもとに到着した場面だと解釈できます。そのため、第三句で早馬が茘枝を求めようと走りゆくことに楊貴妃が笑ったとするのでは内容が合いません。
不適当です。
宮殿の門の直前で倒れて、といった内容は読み取れませんし、好物の茘枝を運ぶ早馬にアクシデントがあった状況で楊貴妃が笑うという説明は本文に沿わず適当ではないでしょう。
これが最も適当です。
茘枝を運ぶ早馬が宮殿に向かって来るのをみて、好物の茘枝が手に入ることに楊貴妃は笑ったのです。
不適当です。
「玄宗に取り入りたい役人」については、資料にも詩にもどこにも言及がない内容です。
資料にある文章と漢詩とを照らし合わせて、状況を解釈しましょう。漢文は語順に着目し、誰が、誰に、どうした、という内容を取り違えないよう気をつけましょう。
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02
【資料】Ⅰからは早馬を使って楊貴妃の鉱物である茘枝を運ぶ様子が、人馬の過酷な状況も含めて示されています。
一方、【資料】Ⅱからは玄宗が楊貴妃を喜ばせるために【資料】Ⅰであったような犠牲を顧みず、遠くから物を運ばせる様子が示されています。
それらを踏まえて【詩】の第三句を検討しましょう。
誤りです。
早馬を手配したのは玄宗です。
誤りです。
産地へ行くのではなくそこから戻ってきた様子であることが【詩】の第四句からわかります。
誤りです。
早馬が宮殿の門の直前で倒れたという描写はありません。
適当です。
【資料】Ⅰ、Ⅱから早馬は玄宗の命で楊貴妃の好物を運んできたことがわかります。
それを見て楊貴妃が笑うのは自然な流れといえます。
誤りです。
玄宗に取り入りたい役人の描写はありません。
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03
玄宗の命令で楊貴妃の好物の茘枝を運ぶ早馬が砂煙を上げ疾走して来る。それを見て楊貴妃は笑う。
第三句の「一騎紅塵妃子笑」は、早馬が砂煙を上げて到着し、楊貴妃がそれを見て微笑む情景を描きます。さらに第四句の「無人知是茘枝来」(誰もこれが茘枝の到来とは知らない)と【資料】Ⅰ・Ⅱ(馬逓による茘枝の運搬は玄宗の命令)が裏づけになります。
手配者が逆です。【資料】は玄宗が命じたとする伝承を示します。
行き(ゆく)場面ではなく、詩は到来(来)を描きます。第四句の「…来」が決定的です。
そのような描写は詩にも【資料】にもありません。創作的付け足しです。
詩句の「一騎紅塵」=一騎が紅塵(砂煙)を上げる、「妃子笑」=妃(楊貴妃)が微笑むに合致します。加えて【資料】にある馬逓(急使のリレー)は皇帝の命令による運搬で、第四句の「…茘枝来」ともつながります。
個人の私的献上ではなく、【資料】は公的な馬逓による運搬と伝えます。
この二句は、皇帝の命で茘枝を迅速輸送→砂煙を上げて到着→楊貴妃が微笑むという流れを、「一騎紅塵妃子笑/無人知是茘枝来」の対で描いています。鍵は【資料】の馬逓=皇帝命令の急使と、詩末の「来」=到着の読み取りです。
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