大学入学共通テスト(国語) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問31 (<旧課程>第4問(漢文) 問2)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

大学入学共通テスト(国語)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問31(<旧課程>第4問(漢文) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、明代末期から清代初期の思想家である賀貽孫(がいそん)が著したものである。これを読んで、後の問いに答えよ。なお、設問の都合で返り点・送り仮名を省いたところがある。

波線部(イ)のここでの意味として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • ここで時を費やすことはない
  • これ以前に現れたことはない
  • この程度のものではない
  • これ以上のものはない
  • ここを通ることはない

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

波線部(イ)直前から書き下すと「魚の大なる者、此を過ぐるはなし」となります。


魚の大きさについて「此を過ぐるはなし」のため、「これ以上大きい魚はない」の意味である「これ以上のものはない」が正答となります。

 

それでは各選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. ここで時を費やすことはない

不適当です。

 

「過」が「過去」などの時間に関する熟語をもつがゆえの誤答を狙っている選択肢です。

しかし波線部(イ)のすぐあとに「須臾(すぐに)魚は海へ帰った」との文脈があるため、「過ぎる」ほどの時間的猶予はありません。

 

波線部(イ)を含む一文としても、前後の文章との整合性を考えても合致しないため、不適当となります。

選択肢2. これ以前に現れたことはない

不適当です。

 

こちらも先述と同じく、「過」が「過去」などの時間に関する熟語をもつがゆえの誤答を狙っている選択肢です。

 

しかし、波線部(イ)の直前は「魚の大なる者(大きな魚)」であり、波線部(イ)の「此」が「大きな魚」を指しています。

そのため、「此(大きな魚)を過ぐるはなし」の「過ぐる」が時間的な意味をもつことはありません。

 

ちなみに、「これ以前に現れたことはない」の意味を「過」を用いて書き下し文にすると、「過去に此より魚の大なる者はなし」などとなり、白文で表すと「過去於此魚之大者莫」などとなります。

選択肢3. この程度のものではない

不適当です。

 

「過」は「大き過ぎ」など「程度」についての大小を示すことがあるため、それについての誤答を狙った選択肢です。

しかし、波線部(イ)の前は「大なる者」とあり、直後には「若き」とあり、「この程度」といわれても、どの比較において「過ぐる」と言っているのかわかりません。

 

また、「大なる者」の前には「数百人かかってさばいて数百石の身を取ったが傷ついたそぶりなく帰っていった」とあるのに「大きな魚はこの程度ではない」と否定するのは、文脈的にもおかしくなります。
 

選択肢4. これ以上のものはない

適当です。

 

解説冒頭で述べた通り、漢字の意味としても文脈としても本文に矛盾しません。

選択肢5. ここを通ることはない

不適当です。

「過」には「通過」などの熟語があるため、「通る」という誤答を狙った選択肢です。

 

しかし、入江に打ち上げられた魚が大きなはしごをかけられ、数百人がかりでさばかれようとしているところで「ここを通ることはない」というのは不自然です。

 

また、本選択肢は「此」を「ここ」と場所の意味で解釈しています。

「此」はあくまで人や物を指す指示語であり、場所を指す際には「此方」などと用います。

単独の「此」が場所を示すことは、ほとんどありません。

まとめ

波線部(イ)を含む一文をきちんと書き下せたのなら、前後の文脈とは関係なく正答を選べる問題です。

 

もし「過」の扱いに困った際には、波線部(イ)までの文章を参考に、文脈から答えましょう。

参考になった数0

02

波線部(イ)「此過莫矣

書き下し文:此に過ぐるは莫し

現代語訳:これを過ぎるものはない→これ以上はない

 

」は置字のため、読みません。

 

波線部(イ)前文も含めて現代語訳すると、「魚の中で大きいものは、これ(この魚)より大きいものはいない」になり、同じニュアンスの選択肢を選びましょう。

選択肢1. ここで時を費やすことはない

解説冒頭の現代語訳のニュアンスと一致しません。

また、言及されているのが、魚ではなく時間である点も一致していません。

 

したがって、この選択肢は誤りです。

選択肢2. これ以前に現れたことはない

解説冒頭の現代語訳のニュアンスと一致しません。

 

したがって、この選択肢は誤りです。

選択肢3. この程度のものではない

少し迷いますが、「」とは程度が過ぎる状態を指すので、少し主旨とずれます。

 

したがって、この選択肢は誤りです。

選択肢4. これ以上のものはない

解説冒頭の現代語訳と一致しています。

 

したがって、この選択肢は正しいです。

選択肢5. ここを通ることはない

解説冒頭の現代語訳のニュアンスと一致しません。

また、言及されているのが、魚ではない点も一致していません。

 

したがって、この選択肢は誤りです。

まとめ

本問題は波線部だけでは選択肢を絞ることができず、前文の魚の大きさに関する言及も含めて訳す必要があります。

問題によって、線部だけを訳せばいい問題と前後も含めて訳す必要がある問題に分かれていますが、その違いは線部の中に明確な意味を持つ単語が含まれているかです。

頻出な単語は明確な意味を持つものが多いため、しっかりと覚えるようにしましょう。

参考になった数0

03

波線部の意味を確認しましょう。

 

莫過此矣」(此れに過ぐるは莫し)

には読み仮名は無く、断定強調の意味で文末に置かれる文字です。

 

文脈から「過ぐる」の意味を正しく捉えられるかがポイントです。

 

選択肢1. ここで時を費やすことはない

この文章における「過ぐる」は「時間を過ごす」という意味ではないため、誤りです。

選択肢2. これ以前に現れたことはない

本文では魚の大きさに焦点が置かれており、現れた回数については述べられていないため、誤りです。

選択肢3. この程度のものではない

やや判断に迷うところですが、「過ぐる」の意味が的確に反映されていないため、誤りです。

選択肢4. これ以上のものはない

波線部直前に「おもえらく(=思うに)、魚の大なるものは」という文があり、魚の大きさについて「此れに過ぐるは莫し」と言っていることが分かります。

 

したがって、文意を正しく捉えているこの選択肢が正解です。

選択肢5. ここを通ることはない

この文章における「過ぐる」には「通過する」という意味はないため、誤りです。

まとめ

判断に迷った場合は波線部の前後に注目して文脈から考えてみましょう。

 

本問では波線部直前に「おもえらく(=思うに)、魚の大なるものは」という文があり、魚の大きさについて述べている文章であることが分かるため、「大きさ」に言及しており、なおかつ「過ぐる」の訳が的確に反映されているかをポイントとして正解を絞り込むことができます。

参考になった数0