共通テスト(国語) 過去問
令和8年度(2026年度)追・再試験
問24 (第3問(実用的な文章) 問4)

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問題

共通テスト(国語)試験 令和8年度(2026年度)追・再試験 問24(第3問(実用的な文章) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

Aさんのクラスでは、自分で設定したテーマについてレポートを書く授業が行われている。生活習慣に関心があったAさんは、次の【資料Ⅰ】の内容に興味を持ち、レポートのテーマを「午前中の調子を左右する要因」にすることとした。テーマに関連するものとして後の【資料Ⅱ】と【資料Ⅲ】を集めたAさんは、現在、各資料についての分析を行っている。これらを読んで、後の問いに答えよ。

【資料Ⅱ】朝食に関する文章
 朝食には大事な役割がある。朝食をとると、体内時計が動き始めることが近年わかってきた。脳にある「主時計」(親時計ともいう)が、体中にたくさんある「末梢(まっしょう)時計」(子時計ともいう)を統御している。
 ヒトの体内時計は1日24.5時間と言われる。そのまま放置すると1日0.5時間のずれが生じるが、体内時計にはある刺激によってリセットされる機能が備わっている。
 主時計をリセットさせるのは、強い光。朝起きて太陽の光を目の網膜に映すと、その光の刺激が脳に届き、睡眠・覚醒リズムや体温や血圧のリズム、ホルモン分泌リズムなどをつくりだす。末梢時計は肝臓、腎臓、胃、腸などさまざまなところにある。朝食は、主に肝臓の末梢時計をリセットするのに大事な働きをしている。
(鎌田實(かまたみのる)「おすすめ『朝タン』に卵」(「毎日新聞」2024年10月27日朝刊)による)

【資料Ⅲ】仮眠に関する文章
 夕方帰宅後に仮眠をとることで、その後頭がすっきりしますが、その分、夜寝る時刻が遅くなり、体内時計のリズムが夜型化することになります。また、夜の寝つきが悪くなるとともに、眠りが浅くなり、結局睡眠不足をもたらします。その結果、翌日の日中に眠気が生じ、また夕方の帰宅後に仮眠が必要になるという悪循環となります。
 人が眠くなる仕組みには、体内時計のリズムによるものとは別に、睡眠不足や脳の使い過ぎなどにより疲れた脳を休ませるためのものがあります。夕方に寝ると脳の疲れが回復し眠気が減るため、夜の眠りが浅くなるのです。
 夕方眠気を感じる場合には、睡眠不足の状態になっている可能性がありますので、夜は早めに寝て十分な睡眠時間を確保した上で、朝食前に勉強をするのも効果的です。
 なお、午後3時前までの時間帯に20分以内でとる「短い昼寝」は頭をすっきりさせる効果があり、夜の睡眠に対する影響も小さいことが分かっています。このときベッドなどで長く眠ると眠りが深くなり、脳と身体が休息モードになってしまい、かえって頭がぼんやりするため注意が必要です。
(文部科学省「早寝早起き朝ごはんで輝く君の未来〜睡眠リズムを整えよう!〜」による)

Aさんは、レポート作成に向けて新たな資料が必要であると考え、次の【資料Ⅳ】を追加した。この資料はAさんの高校の新聞部が発行している学校新聞に掲載されていた記事である。【資料Ⅳ】をレポートに用いる方針として最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

【資料Ⅳ】
新聞部員Xによる大学生Yに対するインタビュー記事
X:本日は、Yさんの大学で行われている安価で朝食を食べられるという「朝食支援」について、内容と感想、今後の期待の順にお話を伺いたいと思います。まず、支援の内容についてお聞かせいただけますか。
Y:はい、講義の前に、希望する学生が食堂で安く朝食を食べることができます。朝食のメニューは、パンと牛乳、ご飯とみそ汁のほか、日替わりのおかずを選ぶことができます。
X:いつからこの朝食支援を利用していますか。
Y:1年生の途中からです。朝食支援を利用する前は、夜更かしをすることがあり、出かけるギリギリまで寝て、朝食を食べずに始業直前の教室に入ることもありました。生活が不規則で、朝の調子もよくありませんでした。でもあるとき、ポスターでこの企画を知って、「バランスのとれた朝ご飯が、こんな値段で食べられるなら行ってみよう」と思いました。
X:実際に、朝食支援を受けてみた感想を教えてください。
Y:毎日朝食を食べられるのが素直にうれしいです。午前中の調子もよくなったように思います。それから、生活習慣にも変化がありました。朝食を食べるために朝早く起きるようになったんです。夜も早く眠くなるので早寝が定着して、睡眠時間が確保できるようになりました。以前は午後の眠気がひどくて夕方長く寝ていたのですが、それもなくなりました。
X:なるほど。生活習慣を整えるという点でも、朝食支援の取組みが役立っているということですね。
Y:はい、朝食支援の取組みにはいいところがたくさんあります。でもたまに友人との付き合いで寝るのが遅くなってしまうこともあります。そういったときは朝食を食べる気になりません。朝食支援は生活習慣を整えるきっかけにはなりますが、自分でも生活リズムを整える必要がありますね。
X:今後、この取組みに期待することはありますか。
Y:はい、日替わりのメニューがもっと増えるといいですね。
X:とても参考になりました。本日はありがとうございました。
問題文の画像
  • 【資料Ⅳ】から、朝食をとらないことで午前中の不調を招くことがあると読み取れる。このことと【資料Ⅱ】を関連づけ、朝食をとらなければ肝臓の末梢時計はリセットされないことの根拠として【資料Ⅳ】を示す。
  • 【資料Ⅳ】から、朝食支援を受けることによって午前中の調子がよくなったと感じることがあると読み取れる。このことと【資料Ⅰ】図1を関連づけ、朝食と午前中の調子が関係している事例として【資料Ⅳ】を示す。
  • 【資料Ⅳ】から、朝食支援の利用をきっかけに仮眠をとらなくなることがあると読み取れる。このことと【資料Ⅰ】図2を関連づけ、朝食摂取が仮眠の抑制に効果があることの事例として【資料Ⅳ】を示す。
  • 【資料Ⅳ】から、朝食支援だけでは生活リズムを整えることが難しい側面が読み取れる。このことと【資料Ⅲ】を関連づけ、生活リズムの改善には適切な仮眠が必要であることの根拠として【資料Ⅳ】を示す。

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この過去問の解説 (1件)

01

正答は、「【資料Ⅳ】から、朝食支援を受けることによって午前中の調子がよくなったと感じることがあると読み取れる。このことと【資料Ⅰ】図1を関連づけ、朝食と午前中の調子が関係している事例として【資料Ⅳ】を示す。」です。

 

【資料Ⅳ】は、大学生Y一人へのインタビューです。そのため、「朝食をとれば必ず午前中の調子がよくなる」と証明する資料として使うことはできません。

しかし、Yは朝食支援を利用するようになってから、「午前中の調子もよくなったように思います」と話しています。そのため、【資料Ⅰ】図1で見られる朝食と午前中の調子との関係に合う一つの具体的な事例として使うのが適切です。

選択肢1. 【資料Ⅳ】から、朝食をとらないことで午前中の不調を招くことがあると読み取れる。このことと【資料Ⅱ】を関連づけ、朝食をとらなければ肝臓の末梢時計はリセットされないことの根拠として【資料Ⅳ】を示す。

【資料Ⅳ】では、Yが朝食を食べていなかったころに「朝の調子もよくありませんでした」と述べています。

しかし、このときYは夜更かしをするなど、生活そのものが不規則でした。そのため、朝食を食べなかったことだけが不調の原因だったとは判断できません

また、肝臓の末梢時計が朝食によってリセットされるという仕組みは【資料Ⅱ】に示されている内容です。一人の体験談である【資料Ⅳ】を、その仕組みの科学的な根拠として用いることは適切ではありません。

選択肢2. 【資料Ⅳ】から、朝食支援を受けることによって午前中の調子がよくなったと感じることがあると読み取れる。このことと【資料Ⅰ】図1を関連づけ、朝食と午前中の調子が関係している事例として【資料Ⅳ】を示す。

この使い方が最も適切です。

【資料Ⅳ】でYは、朝食支援を利用するようになり、「毎日朝食を食べられる」としたうえで、「午前中の調子もよくなったように思います」と話しています。

一方、【資料Ⅰ】図1からは、朝食をとる頻度と午前中の調子との間に何らかの関係がありそうだと読み取れます。

【資料Ⅳ】は一人の体験談なので、朝食の効果を証明する「根拠」とするのではなく、図1の傾向と合う具体的な「事例」として示すことができます。この点が重要です。

選択肢3. 【資料Ⅳ】から、朝食支援の利用をきっかけに仮眠をとらなくなることがあると読み取れる。このことと【資料Ⅰ】図2を関連づけ、朝食摂取が仮眠の抑制に効果があることの事例として【資料Ⅳ】を示す。

Yは朝食支援を利用するようになってから、早起きや早寝が定着し、睡眠時間が確保できるようになり、以前していた夕方の長い仮眠もなくなったと話しています。

しかし、これだけでは朝食を食べたことが直接、仮眠を減らしたとはいえません。早寝によって睡眠時間が増えたことなど、ほかの生活習慣の変化も関係している可能性があります。

したがって、「朝食摂取が仮眠の抑制に効果がある」とするのは、資料から読み取れる範囲を超えています。

選択肢4. 【資料Ⅳ】から、朝食支援だけでは生活リズムを整えることが難しい側面が読み取れる。このことと【資料Ⅲ】を関連づけ、生活リズムの改善には適切な仮眠が必要であることの根拠として【資料Ⅳ】を示す。

Yは、朝食支援だけに頼るのではなく、「自分でも生活リズムを整える必要がありますね」と述べています。そのため、朝食支援だけですべて解決するわけではないという部分は読み取れます。

しかし、【資料Ⅲ】では、生活リズムを整えるために仮眠が必要だとは述べていません

むしろ、夕方の仮眠は夜の睡眠を妨げ、睡眠不足につながる可能性があると説明されています。午後3時前までの20分以内の短い昼寝には効果があるとされていますが、それも生活リズム改善に「必要」だという意味ではありません。

まとめ

【資料Ⅳ】は、大学生Y一人の経験を紹介したインタビューです。そのため、科学的な仕組みや一般的な効果を証明する資料として使うのではなく、ある人に実際に見られた具体的な事例として使うのが適切です。

Yは朝食支援を利用するようになってから、「午前中の調子もよくなったように思います」と話しています。この内容は、【資料Ⅰ】図1で見られる朝食と午前中の調子との関係に重なります。

したがって、【資料Ⅳ】は、朝食と午前中の調子が関係していることを示す一つの事例として【資料Ⅰ】図1と組み合わせて使うのが最も適切です。

資料を使う問題では、「一人の体験談からどこまで言えるのか」を考えることが大切です。体験談だけから「原因である」「効果がある」と断定しないよう注意しましょう。

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